「INDEPENDENCE DAY 平成22年2月22日」記念日!
2011年横浜トリエンナーレ公式グッズにも選ばれスタートした「横濱帆布鞄」。今回はその仕掛け人であるU・S・M・Cの代表 鈴木幸生さんに記念日取材してきました!
ー鈴木さんの記念日、教えてくださいー
会社設立日の、「INDEPENDENCE DAY 平成22年2月22日」記念日です。
ーゾロ目ですね(笑)会社設立したのは、意外と最近なんですね。何か理由があったんですか?ー
元々、雑貨全般を扱うデザイン会社で、マーケティングを26年やっていました。今でも何かに導かれたのかな・・と不思議な感覚なんですけど、50歳になる夏「何か自分でやりたい」とふと思ったんです。お世話になっていた会社に骨を埋めるつもりでいたのにね。それで9月には、社長に独立の意思を伝えていました。
ー独立して、「やること」は決めていたんですか?ー
ううん。具体的には決まっていなかった。でも僕がやってきたことの延長だからアパレル関係で「モノ作り」かなと。勤めていた会社は大きなロットを動かしていたけども、それは組織があって仕組みがあって成り立っている。それを僕個人が同じ土俵でやろうとしても勝てるわけがない。だから僕が出来ることは、「質の追求」かなと。
横浜に住んで20年になりますが、僕が提案するモノ作りで、「カッコイイ」が揃っている横浜を盛り上げられないかなと思いました。そこでそもそも「横浜の産品やブランドって何があるんだろう」と歴史も含め調べました。歴史館なんかも行きましたよ。でもね、意外と横浜には、地域を代表するようなブランドがなかった。だから「モノ」として残る横浜ならではの横浜ブランドを作ろうと思ったんです。【横濱帆布鞄】という名前も覚えやすいでしょう?
ー横浜ブランド。確かになかなかないかもしれません。横濱帆布鞄の代表的なロゴ【045】とは?ー
横浜の市外局番です。アメリカで結構こうやって番号をモチーフにするデザインがあるんだけど、ブランド名どうしようかなと悩んでたら娘が「045ってどう?」ていいアイデアくれたんです(笑)。
あ、これなんかもそう。鞄がメインだけども、実はアロハシャツもある(笑)ハワイには「ヨコハマベイ」ていう正真正銘、横浜という地域名が付いたビーチがあるんですよ。アロハシャツは日本人移民が着物を開襟シャツにリメイクして着ていたのが起源だから、横浜捺染の手拭いでアロハシャツを製作しました。
ーお洒落!ところで、海上自衛隊の船などにも使われる帆布を使用しているそうですが、なぜあえてこの素材を選んだんでしょうか?ー
悩みました。実は、この生地は海上で使われるくらいだからとても頑丈で耐久性に優れているのですが、難点は生地が硬すぎて、バッグなどの立体物に加工することが難しいのです。だからトライした方は過去にたくさんいたらしいんですが、商品化した人はいなかった。
ー成功した人がいないのに、なぜ挑戦したんでしょうー
やっぱりクリエイター魂が疼くというか(笑)やってやろう。みたいな火がついたのもあるし、横浜といったら誰もが持つイメージのひとつは「港町」だと思う。だから港のイメージにピッタリな素材を使いたかったし、僕は大好きな横浜を盛り上げたかったから、面白い生地を作っている地域の企業を探しました。「森野帆布船具工業所」さんが作っているオリジナルの帆布が海上自衛隊の艦船でも使われている生地だったんですよね。もう、これを使うしかない!て思ったんです。
ー軽くてしっかりした生地ですね。鞄ブランドはたくさんありますが、横濱帆布鞄はほかにどんな特徴があるんでしょうか。ー
そうですね。シンプルな中に「色気と味」がある。これが僕達の作る横濱帆布鞄です。
ー深い・・。鈴木さんの提案する鞄は、デザインも長く使えるような、それこそ年代を選ばないようなものが多い気がします。ー
ありがとうございます。デザインは基本的に僕が考えていますが、このリュックなんかは、僕がまだ20代の頃に買った今でも大事に持っているアメリカのブランドのものからインスピレーションを得て作ったんですよ。横濱帆布鞄も長く、大事にしてもらえるブランドにしていきたい。
ーなるほど・・ブランドが誕生して5年ですが、ブランド確立をするために大事にしていることってありますか?ー
いい物を作ることは当然で、物を作るのはお金があれば出来ます。大事なことは色々あるけども、「どこの誰にどんなモノを使ってもらうのか」というターゲティングを明確にしていくことが、絶対的に重要です。これってみんな出来ていそうでターゲットを定めるのは勇気がいるから出来ていないことが多い。
ー横濱帆布鞄のターゲットってどんな方達なんでしょう?ー
理想は僕のような50代前後の方々に、日常的に使って欲しい。色んなモノを見て使ってきた経験のあるモノ知りな方々が、最後に横濱帆布鞄を知って辿り着いてくれてファンになってくれた。というのが理想のあるべき姿ですね。(と思うけども(笑))やっぱり横浜に住む、働く人達に使って欲しい。
それに、ミリタリースペックって究極のアウトドアスペックなのです。過酷な環境のなかでも使える・機能する、という事を考案し製作しているので、鞄を製作するときにミリタリー・モノの仕様や裁縫の仕方など参考にして取り入れています。モノ知りの方々は、そんな細部の拘りも解って日常的に遊びでも仕事でも使ってくださると思います。
ーシンプルな分、様々なシチュエーションで使えそう!それに、045ってあるから、「横浜」の宣伝にもなりますね(笑)ー
そうなんですよね、歩く看板的な感じかもしれないですね(笑)体感みたいなものって大事。だからカタログなんかも小さな仕掛けがあるんですよ。見てください、生地を貼ったんですよ。珍しいでしょう?
写真で見たって、質感とか色合いって実際のところわからないじゃないですか。「こんなはずじゃなかった」なんてガッカリしてほしくないし、だから手間はかかるけど(笑)邪魔にならない手のひらサイズにして、生地を貼り付けて「体験出来るカタログ」にしました。
ー細かいところまで、気配りとお洒落が溢れていますが、鈴木さんが今後取り組んでいきたいことはありますか?ー
まずは、横浜ブランドとして「横濱帆布鞄」をしっかり浸透させること。そして同じ横浜の企業さんとコラボして新しい商品を開発したり提案していきたい。
あとは・・やっぱり僕は「モノ作り」が好きだし、素晴らしいことだと思う。だからこの面白さを、一般の人にも広く知ってもらう活動をしていきたいですね。不定期ですが、実際に鞄を作るワークショップも開催しています。
ー最高のモノ作りを経験できる場があるなんて素敵ですね。今日は、長時間ありがとうございました。最後に鈴木さんにとっての記念日とは?ー
この会社を作ったのは、何かに導かれている感じがするんですよね。お世話になった会社に骨を埋めるつもりだったのに、突然「やってみたい」と思い体が勝手に動いていたんですから。横浜に住んで20年、50歳の節目、そして横浜という名をつけ、横浜の企業の素材を使って作ったブランド。「横浜といえば横濱帆布鞄だよね」という横浜を代表するブランドに育て、地域を皆で盛り上げていきたい。大事な私の独立記念日です。
【横濱帆布鞄】
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